左京変人図鑑編集部、創刊への想いをご紹介します。

流される人か、変人か

左京変人図鑑 編集長 寺嶋 康浩

 左京区に住んで今年で9年になる。自然も豊かで山に囲まれており、人々はあたたかく受け入れてくれる。庭にはさまざまな野鳥もやってくる。ここに越してから、近所の貸し農園や裏庭で、畑も始めた。実ったプチトマトや胡瓜は、猿に持っていかれるという体験もした。

 まちと人のつながりについて、ここでの暮らし始めて、人生で初めて考えるようになった。まちづくり活動の仲間と話をしていると、左京区には変人が多いと聞く。たしかに芸術家や音楽家など個性的な人が多い印象だ。でも、本当に変人が多いのか、実際にどこにいるのか、調べてみたいし、つなげてみたい。そして、その魅力を紹介してみたい。変人にスポットを当てたいと思うようになった。

 二年前に、私は絵を描き始めた。踊ることも絵も、楽しい。生きているという感覚がある。美術館でみる絵も面白いのだが、私は、街中を歩いていて、ふと出会うような絵があってもいいのではないかと思う。美術館に出向かないと見られない絵だけがアートというのは、どうなんだろうか。左京なら街中にアートがあってもいい。誰もがアーティストになればいい。そんな街になれば面白いと思う。

 変人は、アーティスティック。独自の視点があり、こだわりがある。本人にとっては、こだわっているわけでも、突拍子でもなく、そこになんらかのつながりや法則があったりするだろうと思う。おそらく生き方が、とても人間的で、思考も感性も、どちらもしっかり使いながら行動している人だと思う。

 流される人か、変人か。

 変人とは、自分を持っている人。変人とは、人と違うということ。そこに価値がある。流されることなく自分の軸を持っている。そして、アートはその人が、自分のなかから出てきたものを表現している。表現は誰かを刺激し、また誰かの表現へとつながる。変人を紹介することで、だれかのブレイクスルーになったり、変人スイッチが入ったりして、変人が増殖してく。そんな変人の循環を作りたい。この冊子の目的は、日本全国変人化計画なのかもしれない。

 変人は、変わり続ける。変わり続けるから変人なのかもしれないが。私たちも変わり続けていく。これを読んでくださっている人が変わり続けるきっかけになればうれしい。

編集長写真

編集長:寺嶋康浩

左京区在住。デザイナー、コピーライター、ボディワーカー、ダンサー、画家、電磁波環境測定対策士、第二種電気工事士。市民団体「みんなでつくる 左京朝カフェ」のスタッフ。鞍馬川のゴミ拾い活動や目的なくゆるりと人と繋がる場づくり「ゆるりつながるカフェ」を月一開催中。


のびのび生きたい人に「変人」の智慧を

左京変人図鑑 副編集長 藤嶋 ひじり

 私の故郷は大阪万博の際にできた千里ニュータウン。たくさんの子育て世帯が暮らしており、小学校の生徒数は2千人を超えていました。移住者が多く、私の両親も福井県出身。伝統的なお祭りもなく、地域行事は小学校で開催される盆踊りぐらい。両親は人づきあいが苦手で交流も少なく、大勢の他人のなかで生きている感覚でした。母の故郷・小浜に行くと、その田園風景こそが理想郷だと、幼いながらに感じていました。母にも許容してもらえる保育士という仕事を経て、言葉を扱う仕事がしたくて編集者に転身。結婚後、一度は千里を離れましたが、子育てのために千里に戻りました。

 15年ほど前、小学館の教育雑誌『edu』の仕事で、ハーブ研究家のベニシアさんの担当となり大原に2年通いました。「こんなところで暮らしたい」と再確認。母が亡くなったのを機に、思い切って引っ越しを決意しました。当時はシングルマザーでしたが、再婚とともに京都に移住したのです。最初の結婚が第2の人生とすると、左京区は私にとって第3の人生のスタート地。本当はどう生きたかったのか、自己対峙しつつ実践する大切な場となりました。

 思い返せば、男子とばかり遊ぶ女の子で、将来の夢は、アクションスターか天文学者。青色が大好きで、ショートパンツを履いて、野球帽を被っていたので「変わってる!」と言われ続けてきました。初めて自分の「変人ぶり」を褒められたのが「編集者」という仕事。以来、大勢の方にインタビューをして、世の中にはいろいろな個性を持つ人がたくさんいるのだと知り、変わっていることはコンプレックスではなくなりました。

 変人。この言葉は、いまは褒め言葉と解釈しています。世間一般の常識に囚われることなく、自分の魂の意思を軸として生きる変人は、眼がキラキラ輝いています。私たちは、もっと自由に、自分の心がワクワクすることをしながら生きてもいいはずです。そんな人が増えたら世の中も楽しいものに変わるのではないでしょうか。

 山に囲まれ、鳥や鹿の声が聴こえるこの左京の地で、人生で初めて地域に愛着が湧き、まちづくり活動「左京朝カフェ」に関わりました。そこでも素敵な変人たちに出会えました。左京に多く存在する、そんな魅力的な人を紹介したく、かつ、会いたくて(笑)、この『左京変人図鑑』を創刊しました。のびのびと生きる、生きたい、すべての方にお届けすべく、楽しく発行していきます。どうぞよろしくお願いします。

副編集長:藤嶋ひじり

左京区在住。編集者、シンガーソングライター、FM87.0 RADIO MIX KYOTO旅リポーター、All Aboutコラムニスト、認定心理士、保育士。(株)リクルート『とらばーゆ』編集者を経て、日経BP社、小学館、NHK出版などで取材・執筆。インタビュー実績1,900人。3姉妹の母。

北風と太陽について

北風と太陽が左京変人図鑑を編集しています。

「北風と太陽」といえば、みなさんもご存じのイソップ寓話のひとつです。この話では北風と太陽が旅人の上着を脱がす勝負をします。北風は旅人に向かって力いっぱい風を吹かせますが、旅人は上着をしっかり押さえてしまいます。次に太陽が燦々と照りつけると、旅人は自ら上着を脱いでしまいます。それでこの勝負は太陽の勝ちとなる。というところまでは、有名な話なのですが、この話には続きがあります。

北風と太陽は、次の勝負をします。今度は旅人の帽子を脱がすというものです。まず、太陽が先程と同じように燦々と照りつけると、旅人は暑さを避けるように帽子を深くかぶってしまいます。次に北風が力いっぱい風を吹かせると、さっきまでの暑さから風が気持ちよくて、旅人は自ら帽子を脱いでしまいます。それでこの勝負は北風の勝ちとなるのです。

物事には絶対的なものはないと考えます。その時々によって必要なものも違ってくるのではないでしょうか。あれがダメ、これがダメではなく、あれもいいし、これもいい。私たちはちょっと変わった選択肢を提供することによって、問題解決のための既存の概念を壊します。

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